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平成作文~未来へ

作文応募期間:平成30年1月26日~3月20日

未知の生活の始まり

「ご主人、奥さんはこの2日間が山ですので付き添ってください」と医師から告げられた平成元年4月8日。この日、午前中から陣痛が始まり、初産の私はお昼頃、病院に行きました。そして午後3時52分、元気な男の子が誕生し、みな大喜び。しかし私は、出産後もお腹が痛く、冷や汗が出るくらいでした。このとき私の体の中は、危険な状態になっていたのです。出産後2時間ほど経過したところで主治医に伝え、再び診察のために分娩室へ行き、分娩台に上がった瞬間、スーッと痛みが消えるのと同時に私の意識が遠のいていきました。出産時に息子の伸びた爪が産道の動脈を傷つけてしまい、血腫となっていたのです。その血腫が破裂したのでした。大量出血、意識不明。幸い、総合病院にいたことと、近くに私の親類らが住んでいたことで、親類らの血を輸血し、適切な処置のおかげで一命を取り留めました。そのまま息子と一緒に入院。息子は看護師の方々に面倒を見ていただき、新生児室でひときわ大きい赤ちゃんに他の産婦さんらが驚いていたようです。毎日、両腕に点滴、尿管も通っている寝たきりの私の病室に看護師さんが「息子だよ」って連れてきてくれました。顔を見るだけの日々が1か月続きました。無事に回復した私が、やっと息子を抱くことができたときのことを思い出すと、今でも涙が出てきます。私自身の治療のため母乳を止めてしまい、人工乳のみで育てましたが、大きな病気もせず、すくすく育ってくれました。現在息子は、父親と同じ歯科医師として頑張っています。平成元年の世間の出来事はあまり覚えておらず、初めての子育てに必死でした。私の平成元年は、生死をさまよいながら親になり、子育てという未知の生活が始まった、決して忘れることのない大切な年です。

岐阜県岐阜市 石榑宏美さん 52歳 喜び家族・親族出産・育児心身の変化

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