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平成作文~未来へ

作文応募期間:平成30年1月26日~3月20日

転勤

単身赴任後1か月して、家族の引越しのため東京にあった社宅に帰った。1か月しか経っていないのに、その土地はすでに、馴染みの無い土地に変わっていたのには驚いた。そして、引越しのために社宅の奥さんたちが、大勢、手伝いに来ていたのにも驚いた。「石もて追われる」ような引越しになると思っていたからである。だから、引越しは平日に予定したが、社宅で妻は良好な人間関係を結んでいたのだと実感した。息子の学校に行くと、ちょうど転校のための挨拶をしている時間であった。学級の友達を前にきちんと転校の挨拶をしている息子を見て、私の頑固さが招いたこの転校を悔やんで、思わず涙ぐんでしまった。そしてもう二度と家族を不幸にしないために、自分よがりな正義感を振りかざすことは止めようと心に誓った。リクルート事件のような未公開株を、当時務めていた資材部の多くの同僚が「将来値上がり間違いなし」ということで、競って購入予約をしていた。私一人だけが「取引先の会社から、地位を利用して利益を受けるべきではない」と反対した。反対しても株の引き受けを止めようとしないため、私は社長に直接訴えた。社長命令で未公開株の引き受けは無くなったが、資材部の中での私の立場は辛いものになってしまった。「間違ったことはしていない」と心を奮起させていたが、精神的に参ってしまい、東京から名古屋への転勤となった。急な転勤だったため、取りあえず単身赴任となってしまい、1か月後に家族を引っ越しさせようと東京に訪れたときの気持ちである。都落ちを悲しんだが、物価の安い名古屋に住んだから、一戸建てを手に入れることもできた。「人生万事塞翁が馬」と今では思えるようになった。ちょうど昭和から平成に変わった年の出来事である。

愛知県尾張旭市 浅野憲治さん 70歳 家族・親族流行・世相就職・転職悲しみ怒り

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