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平成作文~未来へ

作文応募期間:平成30年3月15日~4月30日

きんさんは軽かった

きんさんぎんさんブームがまだ冷めやらぬ10月ごろだったと記憶している。私が勤めていた百貨店で開かれるトークショーに出席されるということで、当時管理課駐車場係の責任者も兼ねていた私は、姉のきんさんを地下駐車場で出迎えることになった。当世人気のきんさんのこと、さぞかし取り巻きを引き連れての楽屋入りかと思っていたのだが、意外にもお家の方が一人、自前の自家用車を運転して送ってこられた。車から降り、用意していた車いすに乗り替えてもらい、もう一人の警備員と一緒にエレベーターの前まで押していった。駐車場の平面スペースを突き切るとそこには段差があり、警備員と一緒に左右に分かれ、車いすを力いっぱい持ち上げることになった。その時のことだ。な、なんとめちゃくちゃに軽いではないか。後で考えれば、100歳のおばあちゃんが重たいわけはないと分かるのだが、想像以上の軽さに「えっ」と声を出してしまっていた。段差の上に車いすを降ろすと、私に向かってきんさんが微笑みながら「ありがとう」。はっきりした上品な口調であった。忘れられない思い出である。

愛知県蒲郡市 尾﨑博敏さん 66歳 流行・世相会社・仕事

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