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平成作文~未来へ

作文応募期間:平成30年5月15日~6月30日

禁煙を決めた日のこと

平成7年の春、東京で働く長男が、保証人の印が欲しいとやって来た。転職するのだという。今まで何の相談もなく、突然の話に戸惑いながら理由を聞いてみた。仕事の内容が、期待していたのとは違うからだという。テレビも新聞も不況、不況。平成の大不況だという。こんな時になぜ転職なのか。わずか1年前の就職活動の時には、本人の下宿先は無論のこと、実家の私の所にまで就業を促す会社案内がひっきりなしに届けられていた。そんな恵まれたなかで企業の取捨選択をし、思い描く職場に就くことができた。そんな就職状況も一転して、今年は1人の募集さえも無いというではないか。もしも1年遅れていたなら採用されていなかった会社だ。こんな状況下にあっても、途中採用をしようという企業に魅力はあるものの、転職には不賛成だといって保証人の押印を断った。私が子の人生を変えてしまったと、あの時は悩んだ。人生が思うようにいかないのは、当たり前のこと。笑って楽しそうにしていても、悩みの無い者などいるはずがない。誰もが辛抱して生きているに違いないのだと、これまでの私の人生と重ねながら言った。憤まんやる方無い悲しそうな顔をして、戻っていった息子が忘れられない。この日、今まで何度も挑戦しては、失敗をしてきた禁煙を決心し、初めて成功した。「辛抱」という言葉が自分に返ってきて、心に刺さったからだろう。よく成功したものと、自分に感心している。

岐阜県北方町 大野博司さん 77歳 家族・親族会社・仕事就職・転職

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