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平成作文~未来へ

作文応募期間:平成30年5月15日~6月30日

その日の朝のこと

「いや~ごめ~ん。今日の飲み会行かれへんわ~」、「それは困りましたね。部長が来ないと始まらないんで」。その電話は朝の6時半ごろだっただろうか。真冬でまだ辺りは薄暗い。交通量が多いアパート前にある幹線道路からの、いつもならけたたましいトラック音があまり聞こえてこない。代わりにバラバラバラと遠くの空から、まるで空気に栓でもしたかのようにくぐもった低い音が響く。ヘリコプターからのものだろう。ホバリング音が複数重なって聞こえる。何だかいつもと様子が違うことに気付くのである。その日の夕方には美術部で新年会の予定があった。そして友人がアパートに転がり込んだままの状態で迎えた朝でもあった。年度末の試験が迫っていたため共に勉強するはずの予定が、いつの間にか深夜まで酒と雑談にふけってしまい、ようやく4時ごろに布団に入ったばかりのタイミングで叩き起こされた。寝ていた布団の上にテレビがずり落ち、食器が何枚か割れるなどして、部屋の中はちょっとしたカオスの様相を呈していた。ベランダに出てみると白々と朝が明けつつあったが、薄曇りがかった空に幾らかのヘリコプターらしき機影が見える。そして道路からの風がガス臭い。電気はつくがガスがつかない。これでは風呂が沸かせないではないか。取りあえずテレビをつけると、西宮上空からの映像というテロップが飛び込んでくる。そこには何本も煙の柱が立っており、よく見ると43号線沿いから火の影が見える。心配になったのかその友人は、自分のアパートを見てくると言い残しバイクで出かけてしまった。一人残され、その直後の電話であった。程なくして「阪神高速が倒壊している」と言って友人が早々に引き返してくる。どういうことか、まだ何も分かってはいなかった。これほど街が大変なことになっていたとは。せいぜい宴会の心配をしていたというのが、発災直後の思い出である。

愛知県犬山市 黒川淳一さん 44歳 友人・仲間天候・災害

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