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平成作文~未来へ

作文応募期間:平成30年5月15日~6月30日

わが家の一人立ち出発日

平成8年3月のある夜、師と稽古の後、世間によくある話題について、どうしたら良くなるのかと話し合っていたところへ、師のお連れ合いが帰宅された。話がひと区切りつき、暇乞いをしたところで顔を出され、「ボージョレ・ヌーボーが1本残っているから、飲んでいけ」と。20年ほど通っているが、飲んでいけと言われたのは始めてだった。ひと口いただき、玄関で履物を履く私の背に、「小夜ちゃんは、細うで繁盛記だな」とおっしゃった。私は何とも言わなかったが、それが別れの盃と遺言となった。4月、その方は突然亡くなられたのだ。そして通夜の席、焼香のため連れ合いが立ち上がった時、連れ合いの手にしていた数珠が座敷に飛び散った。帰宅後、もう相談事には乗ってやれないから自分たちでしっかり生きて行けとのメッセージかと2人で話した。時の移り変わりに流され、昭和の小売業時代、平成の無職時代、下受業に就いて、やっと落ちついてきた。その折を見守ってくださった方だった。

愛知県春日井市 伊東小夜子さん 70歳 会社・仕事別れ

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