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平成作文~未来へ

作文応募期間:平成30年6月15日~7月30日

妻の事故

平成9年11月10日、午前中のクリーニングの配達を終えて、昼食のために帰宅すると、妻はいなかった。どこで遊んでいるのかといら立ったが、代わりに昼食の用意をするような私ではなかった。そして、怒りを抑えながら午後の仕事の用意をしていると、留守電のランプが点灯していた。再生してみると、「こちらは多根総合病院です。奥様が救急車で搬送されています。至急ご連絡ください」とのメッセージが流れた。「たいした事故ではない」心の中でそう願っていたが、大きな恐怖が胸にわいた。車で病院へ駆け付けると、「3階の脳外科へ行ってください」と総合受付で言われた。私は、大きな動揺を覚えた。完全に我を失い、どのようにして脳外科にたどり着いたかは記憶から消えてしまった。「河上です。妻がここへ搬送されていると聞いて」たどたどしく話した。そして、看護師が私を病室に案内してくれた。妻は、一見すると膝からの出血と二の腕からの出血だけで軽傷だと思ったが、獣のような声でうなっていた。私は妻を呼んだが、妻は苦しそうにうなっているだけだった。そして、口から真っ白な粘液を吐き出した。「誰か来てくれ」恐怖を感じて思わず叫んでいた。ナースボタンが枕元にあったが、そのときの私の目には見えなかった。まもなく、3人の看護師がストレッチャーを押してきた。そして、妻を連れ去った。ぼうぜんとしていると、先ほど案内してくれた看護師が、「先生からお話があります」と、私を談話室に連れて行った。そして、妻の状態を説明された。脳挫傷、頭蓋骨骨折の大事故だった。

大阪府大阪市(西区) 河上輝久さん 70歳 家族・親族心身の変化怒り

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