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平成作文~未来へ

作文応募期間:平成30年6月15日~7月30日

誠意は通じるもの

私は当時、筆記具メーカーの営業マンとして、毎日得意先を訪問していました。私の勤めていた会社は、愛知、岐阜、三重の三県をテリトリーとして、約1000店を10人の営業マンが担当していました。私は、三河、尾張、三重等を担当して、また名古屋市内担当となりました。そんなある日、会社に電話クレームの電話が入りました。当社の筆記具でワイシャツのポケットが汚れたとのことです。私が先方へお詫びに行くことになり、手土産を買って、地図を頼りに先方に向かいました。着いてみてびっくり。その家は、菓子製造を行っているところだったのです。菓子屋さんに菓子を持参するのも少々変な感じでしたが、とにかく差し出してお詫びを申し上げ、早々に引き上げようとしました。が、先方の社長が気さくな方で、話好きで、ついつい仕事のこと、世間話など話し込んでしまいました。長居したことを詫び、帰ろうとすると、奥さんが自社製の菓子を袋一杯に入れ、土産に持って帰りなさいと。私は何度も「今日は私がお詫びに来たのですから」と辞退しましたが、承知されず、仕方なくいただいて帰りました。帰社すると、社長、部長が待ちかまえていました。事情を説明して「実はこんなに菓子をもらってきてしまいました」と言ったところ、社長は一瞬、怪訝な顔になり、すぐ笑顔になりました。「お詫びに行って、手土産をもらってきた人間は初めて見た」と半分笑いながら話され、部長も笑いながらうなずいておられました。その菓子は社員全員でおいしくいただきました。その後、クレームがあると、「○○さんにいってもらったら」と皆が言うようになりました。もちろん菓子を期待しての冗談です。私はきっぱりと拒否し続けました。70歳を過ぎた今でも思い出す、少々笑えるおかしなお菓子の話です。

愛知県名古屋市(昭和区) 岩木旦喜さん 75歳 喜び会社・仕事怒り

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