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平成作文~未来へ

作文応募期間:平成30年7月15日~8月30日

あの夏の暑い日の事件

旧盆を前にした暑い日の朝のことだった。家の上空、手の届きそうな場所で、何機ものヘリコプターが周回を始め、地響きのようなローター音が周囲に響き渡った。ほど近い高校に通う女子生徒が、通学の途中でストーカーに刺されて亡くなるという悲しい事件の始まりだった。犯人は、女子生徒と同じ中学出身の同級生の男子生徒。救急車や多くのパトカーのサイレンが鳴り響く中で、絶対に起きてはならない事件の様子が テレビ画面を通して連日伝えられた。テレビの画面から送られてくるその様子や、事件現場の雰囲気は、家のすぐ近くで発生しているにもかかわらず、なぜかテレビの犯罪ドラマや映画を見ているかのような錯覚に陥っていたような気がする。その日、夏休み中の高校は出校日で、朝から夏の強い日差しを受けて、地面が沸き立つほど熱い猛暑日だったように記憶している。朝早くから登校する多くの高校生たちが、わが家の近くの通学路を自転車で走り抜けていった直後の出来事だった。この時期、ちょうど2人目の息子を出産間近だった身重の嫁は職場に行っていたのだが、わが家の近くで起きている事件の様子を電話で伝えると、職場でテレビをつけてこの事件のありさまに驚愕したそうだ。このとき、嫁の腹の中にいた次男は、事件から19年目を迎えた今年の春、事件の被害者と加害者が通っていた高校を卒業した。学校の中では息子たちが生まれた年に発生したこの事件のことが、語られることはほとんどなかったという。

愛知県西尾市 杉浦邦彦さん 59歳 家族・親族流行・世相出産・育児

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