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平成作文~未来へ

作文応募期間:平成30年7月15日~8月30日

焼却場をリメイクしたウサギ小屋

平成30年3月に、三重県志摩市にある小さな岬の小学校が閉校しました。この学校のある町は、フグと四角い灯台、昔から続く人形芝居というたくさんの宝物をもっています。この小学校の運動場の片隅に、ウサギ小屋があります。白いペンキで塗られた壁の上にウサギの絵が描かれ、1999年度卒業生という文字が残されています。私は、この子どもたちと、卒業制作としてウサギ小屋を作りました。このウサギ小屋は、学校の焼却炉の周りの囲いを使って作り直されたものです。以前、学校では、掃除の時間には焼却炉に当番の先生がいて、教室からごみ箱を持った子どもたちが来て、学校のごみは学校で焼却していました。私の家にも、庭に焼却用ドラム缶があり、家庭のごみは各家庭で燃やすのが当たり前でした。しかし、ダイオキシンのことが問題となり、だんだんごみを燃やせなくなっていきました。今となっては当たり前のことですが、当時、ごみ袋に入れて決まった日にごみを出すことや、指定されたごみ袋の値段(1袋100円)が高かったこともあり、ごみを捨てることがすごく大変に感じられました。学校で使われなくなった焼却炉は撤去され、周りのブロック塀だけが残っていました。その頃、ボロボロになったウサギ小屋と、穴を掘って脱走するウサギのことで6年生の子どもたちから心配の声が上がっていました。そこで、卒業制作としてウサギ小屋を作り直そうということになりました。PTA会長だった鉄工所のお父さんが、囲いの網を上手に付けてくれました。周りの壁は、子どもたちがペンキを塗って、ウサギの絵を描いて完成しました。私は今、再びこの小学校で勤務することができ、閉校を見守ることができました。最後のウサギは、閉校の前年に亡くなりました。今の子どもたちは、誰一人学校の焼却炉のことなど知りません。あの頃あんなによく耳にしたダイオキシンという言葉も、自分の生活から遠くなってしまっているように感じます。

三重県志摩市 山口智津さん 57歳 流行・世相学校・学び別れ

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