年表

時代

年表

閉じる

平成作文~未来へ

作文応募期間:平成30年7月15日~8月30日

丹波豆の食べ方

初夏の頃だった。あの日、職場の同僚が、「サツキマスを手に入れた。これで飲もう」と、皆を自宅に招いてくれた。大トロのような舌触りがしたのを、今も忘れられないでいる。このとき、うまい食べ物は何だろうと言って、キャビアやフォアグラなど外国の食べ物が話題になった。平成になって海外旅行も日常的になり、皆がずいぶんと豊かな時代を過ごしていると思った。「トリュフは、スパゲッティを食べたときに入っていた。特別な味ではなかった」と言ったら、「そりゃポルチーニ茸で、イタリアでは一般的なキノコだ」と言われ、ショボンとしたのがおかしく思い出される。素人のグルメ談義など深味のないものだ。結局は、話題が尽きて身近にある食材や調理法に移っていく。「玉ねぎをたき火の中に丸ごと放り込み、取り出してそのまま食べる。あれは、うまい」。この場の話題に野趣のある食べ方を取り上げるのは、少しズレていると思ったが、つられるようにして丹波豆の話が出た。「丹波豆は、スプーンで口の中がいっぱいになるまで詰め込み、それを頬に移動させながらモコモコと食べる。これが本当にうまいんや」と誰かが言った。「普通の大豆でも同じだろう」と私が言うと、「いや、全然違う」と真剣な顔をして友人が答えた。表面に白い粉をふく丹波豆という大豆は、それまで食したことのないものだった。育て方を聞くと、特に難しいものではないが、まきどきがあり、必ず7月1日にまくのがコツだと言って、あとから種を持ってきてくれた。その丹波豆の播種時期が、年々遅くなっている。初めて種をもらってまいた年よりも、今年は10日も遅くした。年々暑くなる気温のせいで、早まきをすると葉ばかりが繁って実が付かないからだ。

岐阜県北方町 大野博司さん 78歳 友人・仲間季節趣味・レジャー

  • facebook
  • twitter
  • line

平成11年の国内・海外の主要ニュースを見る