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平成作文~未来へ

作文応募期間:平成30年7月15日~8月30日

初詣ラン

「3、2、1、あけましておめでとう」。安堵の気持ちが7割、そしてどこか期待外れの思いが3割。そんな平成12年の幕開けだった。2000年問題に沸いた前年。年明けになんらかのシステム障害が発生し、新しい年を迎えられないのではないのだろうか。想像をめぐらしていた私は、その日さえ楽しければよかった大学生。当時所属していたサイクリングサークルのメンバーの下宿先で、もしかしたら迎えられないかもしれない新年を仲間たちと迎えようとしていたのである。長期のツーリングであれば2週間、寝食を共にする。数ヶ月前には青森から仙台までを走り抜けた仲間たちである。何か起きても怖くなかった。緊張がほどけた後にひと眠り。午前3時ごろ、皆がごそごそと準備開始。私も身支度を始め、完全防備で外へ出る。寒い。冷たい風が顔を刺す。ヘッドライトをつけて、自転車にまたがる。大学のある三重県津市から伊勢神宮まで、往復90キロの道のりを走る、毎年恒例の初詣ランだ。松阪市街を過ぎ、櫛田川の河原で日の出を見る。日頃は見ることのない日の出。その輝きに圧倒され、あらためて平穏無事に夜が明けたこの世界に感謝。再びペダルを回し始めた。今ほど自転車ブームではなく、学部の友人から自転車で出かけるのは何が面白いかと問われることがある。その時、私はこう口にしていた。「自分の力で遠くへ行けるって幸せだよ」と。あれから何年も時が経った。当時はあり余っていたはずの時間も体力もすっかりなくなってしまった。しかし、仲間たちとのつながりは途切れていない。過ごした日々を思い出すと、目頭が熱くなってしまう。

愛知県あま市 横井文子さん 39歳 楽しみ友人・仲間学校・学び趣味・レジャー

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