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平成作文~未来へ

作文応募期間:平成30年9月15日~10月31日

母親が新たな旅へ

医者がサジを投げた時から32年が経った平成15年3月21日21時47分に、80年の生涯を閉じて母親が新たな旅に立ちました。32年間もよく頑張ったと思うが、その頑張りはひと口に言えるものではない。病に効くという薬を求めて毎週東京に出かけるのだが、電車賃も毎週、まして二人分となれば家計への負担も重くのしかかったと思う。新幹線と小田急を乗り継いで行ったのも、こうした負担を少しでも和らげようとしたのではないかと思う。父親と母親の二人三脚で肝硬変という病と戦い、毎日必死で生きてきた結果、32年間もの間を生き延びることができたのは不思議でならない。最初の診察から20年も過ぎた頃には「本当に病人か」と思うようにもなってきて、趣味や旅行にも積極的に出かけるまでになっていた。でも、旅立ちは突然やってきた。ある日、デイサービスで「大きな病院で見てもらいましょう」、と告げられたと言う。指定された病院まで車に乗せて連れて行くと、「しばらく様子を見るので入院しましょう」と言われたが、医者から家族に告げられたのは余命宣告だった。そう、2回目の余命宣告で、その1ヵ月ほど後には新たな旅に立ってしまった。家事は一切せず、孫を囲い込んでしまい、親の私たちには渡さなかった。そんな母親だから、決して良い親だとは言えないが、他人にはおせっかいと言われるほど親切だったから、たくさんの方に感謝されていた。だから葬儀の際には近隣住民の皆さんをはじめ、たくさんの方にお見送りいただき、趣味で始めていた大正琴のメンバーの皆さんには、素敵な琴の演奏で旅立ちに花を添えていただくこともできた。喪主としては、初めての葬儀で心構えも準備もできなかったので、お見送りいただいた皆さんに十分なお礼を申し上げる時間が取れなかった。この場を借りてあらためて、感謝とお礼を申し上げたい。

静岡県浜松市(西区) 松山幸夫さん 70歳 家族・親族別れ

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