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平成作文~未来へ

作文応募期間:平成30年10月15日~11月30日

人生最終章の幕開け

7ヵ月にわたり病と闘っていた妻は、薬石効なく、平成18年1月27日に帰らぬ人となった。金婚式を1ヵ月後に控えての妻の死は、余りにもむごく、私に計り知れない悲しみをもたらした。今際の際、妻の手を握るとわずかに目を開き、かすかな声で「お父さんは長生きして」と口にしたのを聞き逃さなかった。50年共生した妻が逝ってしまった。その悲しさ、寂しさ、愛おしさが交錯し、2~3ヵ月無気力に近い状態が続いていた。そんな折、長女が訪れ「お父さん、いつまでもぐずぐずしていては駄目だよ。元気を出して頑張ることがお母さんへの何よりの供養になるから」と励ましのひと言を投げ掛けた。長女の進言は、早く本来の自分を取り戻さねばとの焦りに似た自分の心に火を付けた。徐々にではあるが、以前から取り組んでいた狭い畑での野菜づくり、短歌、自分史などの趣味を復活させることができた。家事、家計一切を妻に丸投げし、好きな仕事に明け暮れ古希まで働くことができた。半世紀余りにわたって仕事に打ち込むことができたのは、妻のしっかりした支えがあった賜物といたく感謝している。“男子厨房に入らず”そのものだった自分は、妻の死により一人暮らしとなり、特に三度の食事づくりに大変苦労した。掃除、洗濯、買い物、町内の付き合いなど全く不馴れで大変苦労した。妻逝きて12年、来年は米寿を迎える。平成18年は大事な人生の支えであった妻を亡くした痛恨の年であり、片やわが人生の最終章の幕開けの年でもあった。妻が最後に口にした「お父さんは長生きして」を大切な言霊として胸に刻み、森羅万象に感謝し、虚心坦懐に「老活」のある日を積み重ねて行きたいと念じている。

愛知県春日井市 今井正さん 86歳 家族・親族別れ悲しみ

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