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平成作文~未来へ

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作文応募期間:平成30年11月15日~12月31日

失われたもの

2008年と言えば、祖父が死んだ年だ。突然のことだった。ある日、朝になったら起きてこなかったという。まさに祖父は眠るように帰らぬ人となった。葬式に出るのは、初めてのことだった。どういう感慨を抱けば良いのか、分からぬまま。祖父の遺体は焼かれて骨となって、私はそれを壺におさめた。ぼんやりと祖父との過去を思い出す。幼い頃は、いろいろ面倒を見てもらったのだが、私は年を取るごとに、祖父と距離を置くようになっていた。祖父は昔気質の人で、礼儀作法に大変厳しく、ことあるごとに注意されるようになると、私はそれが煙たくなっていた。なので、祖父の晩年に私はほとんどしゃべることもなくなってしまっていて、和解の機会は永遠に失われてしまった。加えて祖父は力の象徴であった。その細腕のどこにそんな力があるのだろうと思えるほど。軍人だった祖父に、私は腕相撲でついに勝つことはできなかった。いつか勝ってみせると思いつつ、それもかなわなくなった。2008年は、私にとって死を意識する年であった。生きてさえいれば、やり直すことも、挑戦することもできる。ただし、その時間はずっと続くわけではない。

埼玉県越谷市 西村勇介さん 31歳 家族・親族別れ

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