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平成作文~未来へ

作文応募期間:平成31年2月15日~平成31年3月31日

アマガエルは変な顔

庭師さんに、畳2枚分ほどの小さな池を造ってもらった。さっそく、ホテイアオイを3株ほど、池の中に入れた。この株が増えて、池一面を覆った頃だった。アマガエルが、緑の上に乗っているのを見つけた。草の穂を採って顔の前で揺らせてみたが、動じる様子がない。この時ふと、今は見なくなったトノサマガエルのことを思い出した。わんぱく時代、顔に小便をかけてやったことがある。落ちて来た液をパクッとくわえると、しまった嫌なものを飲んだとばかりに、口をモグモグとさせ、前足で拭っていた。トノサマガエルばかりではない。少し前まで、私の周りにいた多くの生き物たちが、全く姿を見せなくなった。タニシやタガメ、ゲンゴロウなどの水棲生物がいない。子どもたちの遊び仲間だった、カタツムリやキリギリス、ミノムシなども見ない。最近は、アシナガバチも見かけなくなり、気懸かりにしている。鳥の鳴き声も、少なくなった。チャッチャと鳴き、雪の中で南天の実を突いていたミソサザイ。ヒバリが空高くさえずっていたのは、夢の中の出来事だったのだろうか。生き物が少なくなったのは、排気ガスや農薬のせいだと言われるが、そればかりとは思われない。「おはようございます」と、通学をする子から、強烈な洗剤の匂いがする。通勤や通学前に髪を洗う、朝シャンという言葉が使われたのは、平成になってからだ。汚れや臭いを嫌い、洗剤や化学薬品を多量に使うようになった。こうした暮らしぶりが、大気や水を汚し、気づかないうちに、物言わぬ多くの生物の生息環境を、奪っていったのではないか。カエルやヒバリなどいなくなっても、便利で快適な生活が続けられれば良い。皆がそんなふうに、思っているのだったら怖い。手の上に載せた、角張った変な顔のアマガエルを見ながら思った。

岐阜県北方町 大野博司さん 78歳 天候・災害趣味・レジャー

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