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平成作文~未来へ

作文応募期間:令和元年5月15日~6月30日

まだまだこれから

正直言って、戦中生まれで今年になって後期高齢者に仲間入りした者が「未来に向かって」はないだろうとつい弱気になってしまう。そんな時はいつも、サムエル・ウルマンの「青春とは」の詩を口に出して自分を奮い立たせている。特に次のフレーズが気に入っている。「誰にとっても大切なもの、それは感動する心。次は何が起きるだろうと眼を輝かせる子どものような好奇心、胸をときめかせ未知の人生に挑戦する喜び」。現役時代から、定年になったら、体力のあるうちに、四国八十八ヶ所の歩き遍路に挑戦しようと思っていた。しかしいざその時が来てもなかなか決心がつかなかった。そんな折、実家を守ってくれていた兄が若くして亡くなり、背中を押された。あまり信仰心があるわけでもなく、始めてすぐに足にマメができてしまい、苦しいことが多かった。それでも、中止などしたら快く送り出してくれた家族にも顔が立たないと、歯を食いしばって頑張った。お接待、宿の人や歩き仲間にも励まされた。お大師様にも見守られて、何とか満願成就のやり遂げた喜びは忘れられない感動だった。地球の裏側のインカのマチュピチュへも行った。一日以上かけて飛行機を乗り継ぎクスコに到着。そこから列車バスに乗り、あこがれのマチュピチュを丘の上から見下ろした時は感激した。立派な石積み、今も枯れることのない水の路、何千キロと続くインカの道、全てが素晴らしかった。ナスカの地上絵、イグアスの雄大な滝が、今でも眼に浮かぶ。私は今、ボランティアで、明治にできたレンガ作りの廃線トンネルを保守整備する活動「愛岐トンネル」をしている。春と秋には大勢の人が来てくれ新緑や紅葉を楽しみ、喜んでくれていることにやりがいを感じている。10年以上続けている駅前交番「ふれあい」、子ども見守り隊の他、中部大で聴講生SLA(シニアライフアドバイザー)として老人問題、電話相談を受けるなど、頭と体を使い「健康寿命」を一日でも長く伸ばすべく努力している。以前、愛岐トンネルで作業中に、2メートルほどの崖から滑落し、九死に一生を得た。その時、「お前はこの世でまだやることがあるのだぞ」と助けられたと感じた。今後はボランティアで少しでも社会に恩返ししようと心に誓った。人生で今一番充実している。

愛知県春日井市 井出勝男さん 75歳

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