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平成作文~未来へ

作文応募期間:令和元年5月15日~6月30日

これからの生き方

小学生の高学年の頃だったと思う。秋の夕方。居間には誰もいなかった。次第に暗くなる部屋で、何の前触れも無く「産まれた以上、死ななければならない」という考えが浮かんだ。「死んだら、どうなるのだろう」と考えたが、さっぱり分からない。「死」が不安で、不安が絶望を生み出した。あの日から、少し性格が暗くなったように思う。70年以上生きた今、体全体が痛く、疲れが取れなくなった。少しずつ「死」に近づいていることを感じる。それでも「死んだら、どうなるのだろう」という疑問には、何の回答も無く、10代の頃と少しも変わらない。ある日、「這って行っても、走って行っても、行き着く先は同じだ」という考えがふと頭をよぎった。そして「どうせ死ななければならないのなら、死を怖れて、キョロキョロと生きていくのはやめよう」という考えに至る。その日以来、毎日必ず外出し、多くの人と交わって過ごしている。朝は小学生の登校を見守るスクール・ガード活動をする。朝食を摂り、その日が晴れなら、畑で作物を作る。雨なら、読書で時間を潰す。俳句と川柳のサークルにも参加している。ボランティア・サークルに登録し、草取りの依頼があれば出かける。毎日が忙しいと、考え過ぎて不安になることもない。「いつ、どこで、倒れて死んでもいい」と思えば、悩まなくていいし、気持も楽である。夜も、すっきりと眠れるようになった。

愛知県尾張旭市 浅野憲治さん 71歳

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