年表

時代

年表

閉じる

平成作文~未来へ

作文応募期間:令和元年5月15日~6月30日

生き方が問われている

亡くなったドイツの大統領ワイツゼッカー氏が行った、20世紀を代表する有名な演説の中に「過去に目を閉ざす者は、現在にも盲目になる」という言葉がある。ナチスの罪を直視し、全てのドイツ人に責任があると訴えた贖罪の言葉は多くの人々の心に届いた。現在から未来へと向かうにあたって、この言葉はさらに重要になってきたと考える。大変なスピードで生活環境が変化していく現在において、プラスであれマイナスであれ、「過去」の概念が全く通用しない状況が日常化しているからだ。かつてなら見逃されていた発言、わずかな判断ミス、無知による過失は一瞬で拡散し、現在そして未来の幸運を破棄せざるをえないという状況に追い込まれる。競争社会やサバイバルという覆いが隈なく掛けられた世界は、本当に息苦しい。それならば、もう未来には明るい希望はないのか。わたしはこんな風に考える。過去の過失や罪悪といったものから、学ぶものがある。そしてそこには絶対に変わることのない人間性という大きな柱がある。技術が進化すればするほど、人間としての生き方が問われる。目先の利益と悦楽のみを目指し、発展してきたのが人間には違いないが、その中には優しさや正義感といった純粋さから生まれたものも確かに存在した。一瞬で失ってしまうことを恐れて生きるのではなく、揺るがない方向性と価値観こそ、どのような変化にも対応できるだろう。幸いなことに、考える力が健在であれば、世代にかかわらず、未来に向かって生きていくことができるのだ。

神奈川県横浜市(青葉区) 大坪覚さん 51歳

  • facebook
  • twitter
  • line